臨床心理士、公認心理師をしているmichimoです(*^^*)
今回は映画からメンタルリテラシーについて深めていきたいと思います。
素材は2016年公開の「永い言い訳」(西川美和 監督)という映画です。
あらすじは以下の通りです。
「人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族―トラック運転手の夫・陽一とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。子どもを持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが・・・」
この映画は心理学でいう”対象喪失”と”否認”をテーマにした映画だと思います。
主人公は初めは妻の死を悲しむということを回避(否認)し、自分が世間からどう見られているかが心の中心にある、自己愛的な世界に浸っているように感じます。
その後も、妻の友人家族の子どもを面倒見ることで、妻の死を悲しむ隙を自分に与えないようにしているようです。
大事な人を亡くすことは悲しみが深いものです。しかし、その深さにすぐに向き合えない人間の弱さが生々しく描かれています。
まるで妻の死を平気そうに振る舞う姿こそ、自分を保つために必要なことだったのです。
対照的に、妻の友人の夫は初めから悲嘆に浸れています。友人の夫は妻の喪失に向き合えているからこそ、取り乱すことができるのです。
主演の本木さんは人間の葛藤や痛い部分をよく表現なさってるな…と感じます。
心の機微を生々しく描く素晴らしい作品だと思います。
今回のメンタルリテラシーのキーワードは”対象喪失””否認”でした。
メンタルリテラシーを身につけて自分を大事に過ごしましょう。
⁂michimo⁂